犬の看病がはじまると、飼い主には新しい仕事が増えます。それが「記録」です。
診察室で獣医さんに聞かれるのは、いつも具体的な数字です。「お水はどのくらい飲んでいますか?」「ごはんは何割くらい食べていますか?」「嘔吐は何回ありましたか?」——記憶だけで正確に答えるのは、思っている以上に難しいものです。
この記事では、闘病中・シニア期の犬の看護記録について、何を・いつ・どう記録すればいいかを、飼い主の実践目線でまとめます。
なぜ記録するのか
理由は3つあります。
- 獣医さんに正確に伝えるため。 診断の材料になるのは家での様子です。「たぶん」「いつもより少ないかも」より、「昨日は水380ml、ごはんは80gあげて60g食べた」のほうが、圧倒的に役に立ちます。
- 家族の情報をひとつにするため。 「ごはんあげた?」「あげたと思う」——記録がバラバラだと、ダブルであげたり、抜けたりします。誰が見ても同じ情報を見られる場所が必要です。
- 小さな変化に気づくため。 1日単位では分からなくても、1週間並べると「少しずつ食べる量が減っている」ことが見えます。変化に早く気づくことが、早い受診につながります。
記録すべき6項目
すべてを完璧に記録する必要はありません。愛犬の状態に合わせて、必要なものから始めてください。
| 項目 | 記録する内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ごはん | あげた量と食べた量(g) | 「あげた量」だけでなく「食べた量」を分けて残す |
| 水分 | 飲んだ量(ml) | ふやかしごはんに足した水も水分として合算する |
| 排泄 | おしっこ・うんちの回数 | 色や状態の異変はメモに。写真も有効 |
| 体重 | 定期的な体重(kg) | 同じ条件(時間帯・食前など)で測る |
| 投薬 | 薬の名前と飲ませた時刻 | 「飲ませたか分からない」を防ぐのが最重要 |
| 症状 | 嘔吐・下痢・咳などの発生時刻 | 起きた「回数」と「時刻」が獣医さんへの情報になる |
それぞれの具体的な測り方・記録の仕方は、この記事の最後にある個別記事で詳しく解説しています。
いつ記録するか — 「その場で」がすべて
記録がうまくいかない最大の原因は「あとでまとめて書こう」です。夜にまとめて思い出そうとすると、時刻も量も曖昧になります。
- ごはんと水は、あげたその場・下げたその場で
- 排泄と症状は、気づいた瞬間に
- 体重は、決まった曜日・決まった条件で
スマホで記録するなら、その場入力のハードルはかなり下がります。紙のノートを使う場合は、置き場所を1か所に固定するのがコツです。
続けるコツ — 完璧を目指さない
看護記録は、続かなければ意味がありません。そして看病中の飼い主は、すでに疲れています。
- 抜けた日があっても気にしない。 空白の日があっても、記録は十分に価値があります
- メモは一言でいい。「元気なさそう」だけでも、あとで見返すと立派な情報です
- 家族で分担する。 朝は自分、夜は家族、と分けると1人あたりの負担が半分になります
獣医さんへの見せ方
診察のときは、直近1〜2週間の記録を時系列で見せられる状態にしておくと、問診が速く、正確になります。紙のノートなら該当ページに付箋を、アプリなら日別のサマリーやグラフを開いてそのまま見せれば十分です。
伝え方の詳しいコツは「動物病院で症状をうまく伝える準備リスト」にまとめています。
まとめ
- 記録する目的は「獣医さんに正確に伝える」「家族で共有する」「変化に気づく」の3つ
- 項目は ごはん・水分・排泄・体重・投薬・症状 の6つ。必要なものから始める
- 「その場で記録」「完璧を目指さない」「家族で分担」が続けるコツ
今日の1件の記録が、いざというときに愛犬を守る材料になります。まずは今日のごはんから、記録してみてください。